箸が落ちる朝食会場

怖い話・不思議な話

これは数年前、夏休みに沖縄の離島へ行ったときのお話です。

はじめての南国離島のきれいな海!きれいなリゾートホテル!それは家族みんな大喜びでした。
きれいな砂浜に透き通ったエメラルドグリーンの海での海水浴、シュノーケリングしたりボートに乗ったり、それは素晴らしい夏季休暇になり素敵な思い出もたくさん持ち帰りました。

しかし、その時の私には楽しい気分に水を差すことを嫌って家族には言えなかったことがあります。
その「言えなかったこと」について、ここに書くことにします。

リゾートホテルの朝食会場で起きたこと

それはリゾートホテルの朝食会場での出来事でした。
朝食はホテルによくあるブッフェスタイルで、リゾートホテルですからとても豪勢な食事が並んでいました。
沖縄料理や南国の果物がとても人気で、いくつかの候補の中からそのホテルを決めた理由の一つが豪華な食事でもありました。
どれを食べても美味しくて、離島だからかそこまで混雑しておらず、ゆったりとした気分で食事することができました。

食事も半ばに差し掛かると、少し箸を置いてアイスコーヒーを飲みながら前日に体験したアクティビティのことや今日の予定の話に夢中になっていました。
そして、再び食べ始めようと箸を掴んだとき、何かに引っ掛けたような感触があり片方の箸をテーブルの下に落としてしまったのです。
反射的に箸を拾おうとして、テーブルの下へ向かって視線を落とした時のことでした。

テーブルの端から小さな指が引っ込んだ気がしたのです。

一瞬、「えっ!?」っと少し驚いたのですが、落とした箸の位置を確認する動作の途中で目に入ったものでハッキリと見えたわけではありません。
そのままテーブルの下を覗いたところ何も無かったのでその時は気の所為だろうと思い、気にしないようにして箸を拾いました。

そして、気になりだした物が落ちる音

新しい箸を取ってきて再び食事をはじめたのですが、
そのうちに会場のあちこちで箸やスプーンが落ちる音がすることに気が付きました。
家族連れの多いリゾートホテルですから食事中に子どもが物を落とすことはよくあることです。
しかし、10分~15分の間に3~4回は何かが落ちる音がする。
今までそのような経験がなかったものですから不思議に思い、あたりが気になりだしたのです。

「箸やスプーンが落ちる」その事象は、子どものいるテーブルに限らず大人だけの席でも起きている様子で、みな拾ったあとは何事も無かったように食事を続けています。
中にはいぶかしげな顔をする人もいましたが、多くの落した人は何も気にされていないようですし、ウェイターの人たちも同様に気にしていない様子ではありました。

しかし、「よく物が落ちる音がすること」と、気の所為かも知れないが「テーブルの端に小さな指が見えたこと」、私にはこの2点がどうも気になって仕方がありませんでした。
つまり、そこには何か不思議なモノがいるのではないかと考えずにはいられなかったのです。

なぜか夕食には使用されない朝食会場

気になりだすと他にも疑問に思うことが出てくるもので、その一つが会場の違いです。
沖縄のホテルは宿泊コースに朝食だけが付いていることがよくあります。
そのホテルには3泊4日で宿泊しておりましたが、最後の夕食だけは遊び疲れもあるだろうと考えてホテルでの夕食を予約していました。
その夕食時にわかったことですが、朝食と夕食で会場が異なるのです。
確かに宿泊客の全員がホテルで夕食を取る訳ではありませんから朝食よりは人数が少ないのでしょう。
ですから、朝食会場より少し狭い夕食会場の方が効率的にサービス提供できるものだろうかとも思ったのです。
しかし、それでも朝食会場の方がもっとリゾート感があると言いますでしょうか。
朝食会場の豪勢な雰囲気を知っていればこそですが、リゾートホテルの夕食なのにここで食べるの?って感じる違和感がありました。

そうなりますと、怖い話が好きな(でも自分が経験するのは嫌いな臆病者の)私ですから夜の朝食会場はどうなっているのだろうかと気にせずにはいられません。
夕食を終えて一旦部屋に戻ってから「ショップにお土産を見に行ってくる」と口実を作り、一人部屋を出て朝食会場を覗きに行くことにしました。
まあ、もしかしたら違う夕食コースの会場として使われているかも知れないですし、後から知ってもどうしようもありませんが、そちらの方が美味しいものが食べれたのかも知れない。
また来るときのための情報収集にもなりますし、もしかしたら別の何かがあるかも知れないという期待もあり、行くだけ行ってみようと考えたのです。

21:30を過ぎた頃でしょうか、朝食会場を訪れたのですが真っ暗で入り口にはポールが立ち「閉店/Closed」と書かれたプレートとその下に翌朝の営業時間が紙に印刷され貼ってありました。
たぶん暗いからだと思いますが何か恐ろしくて先に進む気にはなれない独特の雰囲気がありました。(臆病なだけなんですけどね)
もしかして、この会場は暗くなってからでは使用できない特別な理由でもあるのだろうか?と興味が湧きました。
しかし、たまにホテルの人が廊下を通り過ぎたりしますのでそれ以上は詮索するのをやめました。
(怖いわけではありませんよ。)
その後、ショップで少し物色して「紙で作るシーサー」を買って部屋へ戻りました。
(家に帰ってから余計なものを買うなと妻に怒られるのですが。。。めっちゃ怖いっす。)

やっぱり子どもには何かが見えていた?

最終日の朝食、3日間の豪勢な食事に満足し今回の旅行は満足の行くものだったなと思いを馳せていました。
しかし、旅の余韻に浸った中でも「箸やスプーンが落ちる音」は依然として続いていました。
朝食を終えて会場を出ようとした時ですが、家族連れのテーブルの横を通り過ぎると母親が未就学くらいのお子さんに少し強い口調で食事を促している姿が気になりました。
「○○ちゃん早く食べて、なんで止まってるの?みんな食べ終わってるんだよ!」
その子はテーブルの端をずっと見つめたまま動きませんでした。
もしかしたら、その子には何か気になるモノが見えていたのではないでしょうか。。。

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