現在、執筆中の怪談です。更新頻度を上げることがなかなか難しいため、執筆中の話も載せていき反応をみてモチベーションにつなげたいと思ったしだいです。
怪談と不思議な話はコメント欄ありますのでなにか感想いただけると幸いです。
では、お楽しみください。
遺伝とはかくも残酷なもので、その設計図は確実に子へと受け継がれるのです。
私の両親の祖父は2人とも見事に禿げ上がっており、
当然ながら私の父も同じヘアースタイルへと落ち着きました。
私も30代ですでに絶体絶命の危機に落ち入り、潔く頭を丸めることにしました。
そんな私が、今とは違ってまだオシャレに気を使いヘアースタイルも色々と試すことが出来た高校時代に経験した実際のお話です。
金縛り
小中高と運動部に所属していた私は、疲労のせいかよく金縛りになることがありました。
その頃には知る由もありませんでしたが、体が極度の疲労状態にあって脳が覚醒しているような状況で起きる金縛りは、現在では科学的に原因が解明されており「睡眠マヒ」と呼ばれるようです。
たしかに疲れている時は、金縛りになりそうな体の感覚というものもあり、いつからか動かなくなる少し前に「あ、これは金縛りになる」と感じるようにもなりました。
学生の頃は、金縛りが一種の生理的反応のようなものとは知らず、「もしかして自分には霊感があるのでは?」などと夢見る学生時代を過ごしたものでした。
小学生の頃に観たテレビの『あなたの知らない世界』では、よく金縛りのシーンがあり「金縛りにあってから霊的な恐怖に襲われる」という一連の恐ろしいイメージが定着していました。
そのような訳で「金縛り=霊的なもの」と思い込んでおり、金縛りにあったときは周囲に何かいるのではないかとたびたび怖い思いをしていました。
しかし、大概は何事もなくそのうちに金縛りも解けて朝を迎えるのです。
しかし、ある夜のことです。
その日はとくに金縛りに合いそうな感覚があったわけではないのですが、
夜中に目が覚めるとすでに金縛りになっていました。
それは今までにはない感覚でした。
その当時、私はハイベッドで寝ており、ベッドの横で立つとちょうどベッドマットの上にアゴが乗るくらいの位置で、身長が170くらいですからベッドの高さは約150といったところでしょうか。まあまあな高さがありました。
金縛りの最中、体は動かない訳ですが目だけは動きます。
目線を部屋の中央へ向けると、誰かいるのです。
私へ背を向けるかたちでバーコード頭の人が立っており、耳あたりから上だけがみえました。
ものすごい怖かった。
見知らぬバーコードヘアーの頭が向こうを向いて立っているなんて。
頼むからこっちを向かないでくれと心の中で祈りました。
もしかしたら皆さんは私の父がいたのではないかとか、祖父の霊が出たんじゃないかとか思われたかも知れませんが、祖父は丸ハゲで、父は少年アシベのワンさんヘアー、伝わりますかね。
ショートヘアな落武者という感じなんですよ。
バーコードは私の親族に1人もいなかった。絶対に。
ただ、勘違いしないでいただきたいのですが、私はアンチバーコードなわけではありません。
むしろ、その勇気と努力に感嘆してさえいます。
私たちは確実に昨日よりも多くのものを失っているのです。
その事実にも挫けずに日々改善の意欲を保つ努力には感服します。
私など、とうの昔に諦めて丸坊主にしてしまったのですから。
一言、よろしいでしょうか。
ここで、私が言いたいことは「人は他人と比べてはいけない」と云うことです。
人は常に昨日の自分と比べて良くなることを心がけるべきだと言いたい。
しかしながら、私たちは他の人と比べて容姿という点については圧倒的に不利な立場に立たされているのです。
なぜなら、朝起きた時点で昨日の自分にすでに大敗しているのですから。
そんな不利な状況にも関わらず弛まぬ努力を続ける人は、きっと何事にも尽力する人ではなかろうかと思うのです。
少し話が外れましたが、そんなバーコード頭を横目に(この時はリスペクトなどまったくありませんでした)いつ金縛りが解けるのだろうかと恐怖していました。
バーコード頭の右横手前には電気ヒモが垂れ下がっています。
電気は丸い傘のタイプではなく、天井に張り付いているボックスタイプで直管の蛍光灯を取り付けるタイプの電気です。
今から20年以上前の子ども部屋ですからリモコンなんてものはついておらず、そのボックスタイプ電気の横からヒモが垂れ下がり引けば3段階で明るさが調整できました。
この電気ヒモを金縛りが解けたらすかさず引いて部屋を明るくしよう!金縛りの最中はそのことを考えながらバーコード頭が消えることと金縛りが解けることを祈っていました。
どのくらい金縛りにあっていたのか、時計が見えない位置でしたのでわかりませんでしたが、体感では15分くらいか?すごく長い気がしましたが実際には5分とかではないかと思います。
突然、金縛りが解けたのでバッと右手を伸ばして電気ヒモをひっぱりました。あまり強く引っ張ったせいでヒモが根元から千切れたました。
このときのせいで実家にある私の部屋の蛍光灯は紐が千切れたままになっています。
コメント